茶商のシゴト拝見ミニツアー 2010.10.29
本日は、12:45~と13:30~の2回のツアーを実施。世界お茶まつり2010で来日された、シンガポールのお客様にもご参加いただきました。通訳をお願いした相澤宏代さん(ふじのくに静岡通訳ガイドの会所属)は、日本茶インストラクターでもあり、静岡茶の魅力をしっかりと伝えていただきました。
プロフェッショナル登場!
本日も静岡茶市場の増井社長に、茶市場のご説明をいただいた後、茶市場の拝見場(取引が行われる部屋)をお借りして、茶商の仕事、実演披露です。
NHK「プロフェッショナル-仕事の流儀」に出演された前田文男さん。茶審査技術10段位を、日本で初めて獲得した茶師さんです。
荒茶と仕上げ茶の比較。荒茶が盛られた拝見盆(茶葉をみる際に使う盆)を前田さんが振ると、粉や毛羽のような軽いものなどが盆から飛び出ます。邪魔になるものがだんだんふるい落とされて、きれいに揃った仕上げ茶になるというわけです。
一番茶と二番茶の比較では、同じ茶園のお茶でも、刈る時期により葉っぱの大きさ、色、香りなど、明らかな違いがわかりました。
次は、前田さんが用意した静岡県島田市初倉、高知県、静岡市の本山、3種類のお茶を鑑定。それぞれを茶椀に入れ、熱湯を注いで水色(すいしょく)、香り、味を確かめました。
「自分好みのお茶はどれですか?」、前田さんからの質問に、高知のお茶がおいしいと言う意見が多かったです。前田さんいわく、高知のお茶はじゃじゃ馬的(扱いにくい)性格だと。
先程鑑定した3種類のお茶を、前田さんがブレンドします。
ブレンドは茶商の重要な仕事のひとつ。合組(ごうぐみ)と呼ばれています。
参加者の皆さんは、お茶を正確に量る前田さんの真剣なまなざしと、茶葉を合わせる手つきに見入っていました。
さて、試飲です。ブレンドによりそれぞれのよい特徴が引き出されて、個々のお茶とはまったく違う味わいのお茶になっていました。高知のじゃじゃ馬も、前田さんの合組のワザで、やさしい味わいのブレンド茶に、すっかり溶け込んでいました。
◆昔ながらのたたずまいと製法
本日の茶商訪問は、和田長治商店。こちらには、今も続けている伝統の炭火仕上げが見学できる作業場があります。建物も昔のお茶やさんのたたずまい。表には、拝見場に直接太陽光が入らないよう目隠しが張り出しています。
まずは「富士山プレミアム茶」をいただきました。このお茶は、静岡市の選りすぐりの茶葉を、和田社長が生産者と一緒に富士山の頂上まで運び、山頂の浅間大社でご祈祷していただいた特別なお茶。
和田社長から、登山の際の秘話をうかがい、みんなで大笑いです。
作業場では、炭火仕上げを見学しました。荒茶が機械でふるいにかけられ、いろいろな大きさのパーツに分けられます。
大きさが揃った茶葉を炭火で焙じながら、徐々に水分を減らし、仕上げていきます。火を入れる前と後の茶葉の香りを嗅いだり、触ってみたりして、その変化を確認しました。
火入れ機の中の何段もの引き出しそれぞれに茶葉が並べられています。ベテラン茶師さんは、引き出しを一枚一枚取り出し、お茶の葉をかきまぜて、均一に火が通るようにします。何度も扉を開け閉めしてこの作業を繰り返すそうです。
仕上がりは、この作業での茶葉の手触りや香りで決めるそうです。さすが、職人技!
そう、茶商は職人。仕事へのプライドとこだわりを目撃した半日でした。
ご参加ありがとうございました。
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